新しい本(2021年12月)
12月に買った本を書棚に置く
最近「拾い読み」ばかりで1冊をしっかり読むこと少なくなった
それでも読書欲は止まらない
ここで読んで、ここで話しましょう
●心(こころ)や今(いま)を読む本
9歳のこころのじてん(文/パク ソンウ・絵/キム ヒョンウ 小学館)
ネットで見つけて読みたくなった
気持ちをことばにするのはむつかしい
気持ちを表す74のことばの辞典です
その中から3つをご紹介
『つらい~体やこころがいたくて、苦しい』
『ふあんだ~心配で、こころがそわそわする』
『心がなごむ~親しみを感じて、心があたたかくなる』
パクさんのエピソード文とキムさんのあったかい絵が添えられている
気持ちをことばにすることの大切さを感じる
平等ってなんだろう? あなたと考えたい身近な社会の不平等(斎藤 純一 平凡社)
本屋で見つけてつい買った
政治理論の専門家 斎藤さんが中学生向けに書いた本
「平等」が当たり前の時代だけど、今の世の中なんかおかしい
平等という難題をわかりやすく説明する
ジョン・ロールズ『正義論』から「生の展望」という言葉を引用
『一人ひとりの人生にどんな機会が開かれているのか』
この言葉で将来の可能性の平等の大事さを説く
裸の王様を大人たちは褒めたけど、子どもは正直に笑った
先進国とその他の国々・富裕層と貧困層 そこにいびつな富の偏りがある
父と母、女と男 社会が作った役割がある
親と子、先生と生徒、上司と部下 強い力が働く
LGBTQ、障がい者、外国人 差別や偏見にがある
「疑問に思うこと」「知ること」「考えること」を子どもたちに勧める
未来をどんな社会にするのか 目を背けないで考えてほしい
答えのない道徳の問題 どう解く? 正解のない時代を生きるキミへ(文/やまざき ひろし・絵/きむら よう・にさわだいら はるひと)
『平等ってなんだろう』と同じ棚にあった本
世の中には答えのない問題がたくさんある
『得意なことをのばすのと、苦手なことをなくすのはどっちが大切なんだろう?』
『どうして大人になったら働かなきゃいけないんだろう?』
『つらいとき、ガマンするのとガマンしないのは、どっちがいいんだろう?』
答えのない問題を子どもたちと一緒に考える本
自分の中にも答えのない問題がある
ちゃんと向き合って答えているか
正解は必要ない
いろんな考え方や答えがあることに気づかされる一冊
「死にたい」「消えたい」と思ったことがあるあなたへ(河出書房新社編)
ときに「死にたい」「消えたい」という気持ちが湧く
死にたい気持ちがある人へのメッセージ集
言葉を寄せたのは作家、Youtuber、アーティスト、精神科医など いろんな分野の方々25人
対処法は書いてない
「死にたい」「消えたい」 と思ったときに手に取ってほしい
今がつらいこともある
嫌なことから逃げたいこともある
生きる意味や価値を無くすこともある
この本を読んでいる間は生きられる
ひとりで読むもよし だれかと読んでもいいと思う
発達障害と呼ばないで(岡田尊司 幻冬舎新書)
発達障害と言いたがる人たち(香山リカ SB新書)
発達障害という才能(岩波明 SB新書)
本屋に無数にある発達障害の本から新書3冊を購入
とても多くの人たちが関心を持っているらしい
同時に、発達障害にはわからないことが多い
世界の中で先進国ばかりで増えている
生まれつきの脳の障害とされてきたが、最近は遺伝要因と環境要因が複合していると言われる
生きづらさが個性や性格のせいなのか、発達障害が原因なのか、社会や環境の影響なのか本当にわかりにくい
社会の複雑化が生きづらさの一因なのはどうも確からしい
発達障害を未来の可能性と捉える見方もある
新しい時代(ニューノーマル)には、突出した個性が求められると言われる
発達障害を健常⇔障害という古い概念で捉えるのはやめよう
それぞれの本に新しいアイデアがある
発達障害の方、発達障害かなと思う方も読んでみたら?
●障害や支援などの専門の本
2E 教育の理解と実践 発達障害児の才能を活かす(松村 暢隆 編著 金子書房)
発達障害児の中に特異な才能がある子どもがいる
アスペルガー症候群やサヴァン症候群とも、天賦の才の意でギフテッド(gifted)とも呼ばれる
記憶や計算、芸術、音楽など、特定分野に突出した才能を発揮する
同時に彼らにはいろんな困難や生きづらさがある
才能と困難の2つの特異性を併せ持つ彼らを2E(twice-exception)と呼ぶ
世界では、これまでの常識に捉われず、個々に合わせた学習支援が始まっている
彼らを社会の型に嵌めるのでなく、その子らしい形に伸ばすこと
ひとりひとり形が違う
誰もが自分らしく生きる社会になると信じたい
みんなと違う方 一緒に読んでみましょう
IPS援助付き雇用 精神障害者の「仕事がある人生」のサポート(サラ・J・スワンソン+デボラ・R・ベッカー 金剛出版)
精神障害がある人が働くということを考えるために買った
IPS=Individual Placement and Support
1990年代からアメリカで実践されてきた就労支援のしくみです
7つの原則がある
1)除外基準なし(すべてのクライアントが対象である)
2)就労と精神保健サービスとの統合(専門チームが連携して就労を支援する)
3)一般就労(障害者のために用意された仕事でなく普通の仕事に就く)
4)保障計画(様々な給付との関係を考える)
5)迅速な職探し(就労を希望したら速やかに職探しを始める)
6)就労後の継続支援(働き始めてからも望む限り必要な支援が継続される)
7)クライアントの好みの尊重(選択権と決定権は クライアントが持つ)
IPSは、できること(ストレングス=強み)に目を向ける
そして当事者自身が決めること(原則7)がほかのすべてに優先される
できないことの検査や評価をし、支援者目線で就労を決める従来モデルとは違う
ノーマライゼイションの実践に近い
少しずつ日本でも広がっている
これがあたりまえになるといい
365ページを一気に読むのは無理
折に触れて開いて自分の気持ちや目線を確かめよう
事例で学ぶ 福祉専門職のための意思決定ガイドブック(名川 勝・水島 俊介・菊本圭一 編著 中央法規)
人が生きていくうちには多くのことを決めなくてはいけない
しばしば意思決定の場面があるということ
意思決定を考えるために買った
意思決定ってやつはけっこうややこしい
法律(民法)では、人は生まれたときから死ぬまで権利能力を持つ
意思能力は、物事を判断する知的能力があればいいとされる
一般的に小学生くらいからといわれてる
行為能力を持つというのは、自分のしたことに責任を負うということ
成年年齢(2022年4月から18歳)をもって生じる
子どもや障がい者、認知症の高齢者、終末期の病者などの意思決定はどうするのか?
これまでは支援者や代理代行者が本人にとって「最善の利益」を考えて決めることが多かった
今、この流れは変わっている
本人の「意思と選好」を最大限引き出し、尊重する
「あなたのため」が時に人の権利や尊厳を奪う
誰かが変わって決めるのは、最後の最後の手段という考え方
本書序章で国連の障害者権利条約を解説してわかりやすく示している
福祉専門職向けの本ですが、ひとつひとつの事例は当事者にも支援者にも興味深く読める