「朝が来る」~河瀨直美監督が中洲に来た
3月19日、福岡中洲の大洋映画劇場で「朝が来る」を見た。作家 辻村深月さんが特別養子縁組の子ども、育てた母、生んだ母それぞれの目線で現代の世相を描いた同名の小説を河瀨直美さんが映画化したもの。九州大学芸術工学研究院とのご縁で河瀨直美監督を招いて「中洲・映画まちづくりプロジェクト」のキックオフイベントが開催され、その中での上映だった。
河瀨さんは、東京2020公式映画監督、『殯の森』でカンヌ国際映画祭グランプリ受賞、『朝が来る』で日本アカデミー賞優秀監督賞受賞の映画作家。会場トークでは、この映画のこと、映画製作のこと、世相のことなど、ご自身の生い立ちや活動をも交えて話された。
監督の「名前を記されることのない多くの人々が歴史を作ってきた」「陰の人をないがしろにしない映画を撮る」との言葉が印象に残った。辻村深月さんの小説の描き方にも通じる。朝斗やひかりの目線で『朝が来る』を繰り返し読んで、観てみたい。感想はいつか書くかもしれない。
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パネルディスカッションでは、上映館となった大洋映画劇場の岡部社長からその歴史を聞いた。戦後で娯楽が何もなかった福博に終戦からわずか8ヶ月で、日本の配給会社に頼らない洋画ロードショー館を祖父が建てたとのこと。最盛期17館あった中洲の映画館は、たった1館になっている。九州大学の先生や学生と地元の方々が新しい時代の中洲を描き始めている。ここにも熱いエネルギーがあった。中洲の未来、福博の未来を楽しみに見守っていきたい。
生きにくい時代です。
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